台風が過ぎた朝、外に出てみたら——雨樋が外れてる。屋根の板金がめくれてる気がする。壁に何か当たった跡がある。
「どうしよう、どこに連絡すればいいの?」と焦っている方へ。まず深呼吸してください。塗装・シーリング・防水を専門に現場歴25年、台風のあとの現場を何度も見てきた職人として、最初の24時間の動き方を順番にお伝えします。
先に一番大事なことだけ言っておきます。直す前に、写真を撮ってください。これを知らずに損する人が、本当に多いんです。
最初の24時間でやること(順番どおりに)
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 安全確保 | 屋根には絶対登らない |
| ② | 被害の写真を撮る | 修理・片付けの前に |
| ③ | 保険証券を確認 | 「風災」の補償があるか |
| ④ | 応急処置は地上でできる範囲だけ | ブルーシートはプロに任せる |
| ⑤ | 訪問業者への即決はしない | 台風のあとは点検商法が動く |
① 絶対に屋根に登らないでください
被害を確認したい気持ちは分かります。でも、台風後の屋根は普段の何倍も危険です。瓦や板金が緩んでいて、踏んだ瞬間に滑る。濡れたスレートは氷の上と同じです。素人の屋根転落事故は毎年起きていて、命に関わります。
確認は地上から。スマホのズームで十分です。2階から見える範囲を窓越しに撮るのもいいですね。それ以上は職人に任せてください。
② 修理の前に「写真」——保険金を受け取れるかの分かれ道
ここが今日一番伝えたいことです。台風による被害は、火災保険の「風災補償」で修理費が出る可能性があります。そして保険の申請には被害状況の写真が必須です。
ところが、きれい好きな人ほど先に片付けてしまう。外れた雨樋を撤去して、散らばった破片を捨てて、応急修理までしてから「そういえば保険…」と気づく。証拠が消えると、保険会社は被害を認定できません。
撮り方のコツはこれだけです。
- 全景(家のどの位置か分かる引きの写真)と寄り(壊れた箇所のアップ)をセットで
- 複数の角度から、多めに(20枚30枚でも撮りすぎということはない)
- 散らばった破片・飛んできた物も撮る(風の強さの証拠になる)
- スマホなら撮影日時が自動で残るのでそのままでOK
③ 保険証券の「風災」を確認
火災保険という名前ですが、多くの契約には風災・雹災・雪災の補償が付いています。証券か保険会社のマイページで確認してみてください。
ここで大事な区別がひとつ。保険が出るのは台風が原因の被害で、もともと劣化していた部分は「経年劣化」として対象外になります。この線引きでモメることが多いので、詳しくはこちらで解説しています。
④ 応急処置は「地上でできる範囲」だけ
雨漏りが始まっているなら、室内はバケツと養生で受けてください。外側の応急処置——特に屋根のブルーシート張りは、自分でやらないでください。台風後に一番多い事故がこれです。シート張りだけでも職人に頼む価値があります。
室内側の応急処置はこちらにまとめてあります。
→ 【職人25年】雨漏りの応急処置7選|100均グッズ&室内・屋外の対処法
⑤ その日に来る「屋根壊れてますよ」業者に注意
台風の翌日から、被災地域を回る点検業者が動き出します。全部が悪質とは言いませんが、「保険金を使えば無料で直せます」と契約を急がせる業者は要注意です。
手数料として保険金の30〜50%を取る、保険が下りなかったのに高額な違約金を請求する、虚偽の申請をさせられて契約者が詐欺に問われる——実際に起きているトラブルです。保険の申請は自分でできます。代行は必要ありません。
→ 火災保険の申請を自分でやる完全ガイド|書類・写真・面談のコツ
火災保険の申請期限は「3年」。でも早いほど有利
保険法で、保険金の請求期限は被害から3年と決まっています。「もう片付けちゃったし…」という方も、諦めるのはまだ早い。ただし時間が経つほど「台風が原因」の証明が難しくなるので、思い立った今が一番早いタイミングです。
もうひとつ確認してほしいのが免責金額(自己負担額)。契約によっては「5万円以下の被害は出ない」などの設定があります。証券のここだけは先に見ておきましょう。
よくある質問
Q. 写真を撮る前に片付けてしまいました…
まだ可能性はあります。残った破片、修理業者の調査報告書、近隣の被害状況などから認定されるケースもあるので、まず保険会社に正直に相談してください。
Q. 被害が小さくても申請していい?
申請自体は自由で、費用もかかりません。ただし免責金額以下だと保険金は出ないので、見積もりを取ってから判断するのが現実的です。
Q. 賃貸に住んでいる場合は?
建物の被害は大家さんの保険の領域です。まず管理会社に連絡を。自分の家財(家電が濡れた等)は、自分で入っている家財保険の対象になります。
Q. 保険金をもらったら必ず修理しないとダメ?
使い道は基本的に自由です。ただし直さずにいると、次の台風で同じ箇所が壊れても「前回の未修理」として認定されにくくなります。修理に充てるのが結局一番得です。
まとめ|「撮ってから、直す」だけ覚えて帰ってください
台風のあとにやることを一言にまとめると、「登らない・撮ってから直す・その場で契約しない」の3つです。
被害が出て不安な数日間、焦って動くと「保険が使えたはずの修理を自腹でやる」「相場の倍の契約をしてしまう」という二次被害が起きます。逆に言えば、写真さえ残っていれば、あとから全部リカバリーできます。
落ち着いて、順番どおりに。それだけで大丈夫です。
修理業者は、台風直後に飛び込んでくる業者ではなく、落ち着いてから自分で選んだ複数社から選んでください。焦って契約した1社より、比べて選んだ3社です。


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